信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 着衣水泳に適した泳法の検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 水泳は呼吸が制限され,そのうえ着衣泳では衣服が絡まったり,着衣により水泳中の抵抗が高まると推測される.本研究では,クロール,平泳ぎおよび立ち泳ぎにおいて,1分間の全力水着泳と着衣泳および,着衣泳と同じスピードを水着で泳いだ際の平均スピード,ストローク数,距離/ストローク,心拍数,酸素摂取量,血中乳酸,血中アンモニア濃度から着衣泳の身体への負担を明らかにした.クロールと平泳ぎともに着衣泳での平均スピードは水着泳に比べ有意に減少したが,クロールでの着衣泳の平均スピードの減少率は平泳ぎより大きかった.クロールにおいて,着衣泳でのストローク数/分は水着泳に比較し有意に減少したが,平泳ぎにおいては有意差は認められなかった.クロールと平泳ぎともに,着衣泳での距離/ストロークは水着泳に比べ有意に減少した.クロールにおいて,着衣泳での血中アンモニアと乳酸濃度は水着泳に比べ有意に低い値であった.しかし平泳ぎでの血中アンモニアと乳酸濃度は着衣泳と水着泳の間に有意差は認められなかった.クロールでの着衣泳の平均スピードの低下は抵抗の増大と出力の低下により,推進効率が減少したためと考えられる.さらにクロールにおいて,着衣泳での血中アンモニアと乳酸濃度の低下は,着衣泳では腕や脚の動作が制限されることにより,持っているエネルギーを十分利用できないことに起因しているものと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 大桑哲男*1,森美喜夫*2
大学・機関名 *1 名古屋工業大学,*2 岐阜教育大学

キーワード

クロール平泳ぎ水着着衣血中アンモニア