信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 中等度運動回復期における水分補給の効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 本研究は,中等度運動回復期におけるグルコースおよびクエン酸,酢酸の補給効果について,血清成分の変動および疲労回復の観点より検討した.健常男子学生5名(24±2歳)を対象とした.60%HRmaxで30分間,自転車エルゴメーター運動を行い,運動直後および30分後に,a)純水(W),b)6%グルコース(G群),c)0.5%クエン酸(6%グルコースを添加:C群),d)食酢(市販品10倍希釈:酢酸0.5%含有,6%グルコースを添加:V群)のいずれかを250mlずつ,合計500ml摂取させた.運動前,直後,15分,30分,60分,120分後に採血し,運動直後,1回目の飲水後,2回目の飲水後に主観評価(疲労感・口渇感・リラックス感)について調査した.
 運動によりヘマトクリット,血清乳酸値は増大したが,有意差を示さなかった.飲水後,血清乳酸値・血糖値・インスリンはグルコース摂取により有意に増大したが,そのピーク値はクエン酸や酢酸を添加することにより抑制される傾向を示した.遊離脂肪酸(FFA)は運動により低下傾向を呈し,回復期にはW群のみ有意に上昇したが,他3群は有意に低下した.主観評価は,G群が相対的によく改善されたが,とくに疲労感,リラックス感については,V群により速やかな回復が認められた.
 運動回復期にグルコースとともにクエン酸や食酢を摂取することにより血糖上昇が抑制され,また,とくに食酢の摂取は主観評価(疲労感・リラックス感)回復の促進効果を示したことから,運動後の食酢摂取の有効性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中尾千登世*1,押田芳治*2,佐藤祐造*2
大学・機関名 *1 名古屋大学大学院,*2 名古屋大学

キーワード

中等度運動補給効果疲労回復食酢