肺NO産生能からみた短期高地トレーニングの効果
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19】
本研究では,肺血管内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)が,短期高地トレーニングによって変化するか否かを検討した.
人を対象とした実験では,5週間に渡る高地トレーニング前後にランプ負荷運動を行わせ,呼気NOが増大するか否かを検討した.その結果,高地トレーニングにより呼気NO量は変化しないことが明らかとなった.
またラットを用い,低酸素下において8週間の持久性トレーニングを行わせた後,肺血管を摘出し,各種血管作動物質に対する収縮反応を対照群と比較した.その結果,低酸素トレーニングは肺血管の収縮物質に対する反応を抑制した.このことは,血管内皮細胞由来の血管拡張物質(NO)の産生が,低酸素下のトレーニングにより亢進したことを示唆するものである.
以上の結果から,低酸素下のトレーニングは,血管内皮細胞由来の拡張物質の産生を亢進し,肺循環を改善することが示唆される.しかしながら,このような肺血管由来のNOの作用を呼気ガスから推定することには問題があると考えられる.
「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
人を対象とした実験では,5週間に渡る高地トレーニング前後にランプ負荷運動を行わせ,呼気NOが増大するか否かを検討した.その結果,高地トレーニングにより呼気NO量は変化しないことが明らかとなった.
またラットを用い,低酸素下において8週間の持久性トレーニングを行わせた後,肺血管を摘出し,各種血管作動物質に対する収縮反応を対照群と比較した.その結果,低酸素トレーニングは肺血管の収縮物質に対する反応を抑制した.このことは,血管内皮細胞由来の血管拡張物質(NO)の産生が,低酸素下のトレーニングにより亢進したことを示唆するものである.
以上の結果から,低酸素下のトレーニングは,血管内皮細胞由来の拡張物質の産生を亢進し,肺循環を改善することが示唆される.しかしながら,このような肺血管由来のNOの作用を呼気ガスから推定することには問題があると考えられる.
「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 宮村実晴*1,安田好文*2,青木克之*2,樫村修生*3,小林寛道*4 |
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大学・機関名 | *1 名古屋大学,*2 豊橋技術科学大学,*3 信州豊南女子短期大学,*4 東京大学 |
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