信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 動静脈吻合の体力医学的意義

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 人の四肢末端の皮膚に存在する動静脈吻合(AVA)血管の体力医学的意義について,温熱生理学的観点から検討するために15名の健康な成人女性を被験者として研究を行った.環境温25℃(Warm)と28℃(Hot)の2環境で,手指の皮膚血流量(主にAVA血流量)に及ぼす下肢温浴による局所加温の効果を調べた.Warm環境では,水温を37分間で28℃から41℃に上昇させ,その後33分間水温を41℃一定に保持させた.Hot環境では,17分間で水温を35℃から41℃に上昇させ,その後43分間水温を41℃一定に維持した.指と前腕の皮膚血流量をレーザードップラー血流計によって同時に連続測定した.Warm環境で水温が上昇したとき,指皮膚血流量は15分間にわたって減少を示した.この現象は温熱皮膚血管収縮反応(HIVC)と考えられる.そのときの下腿皮膚温は34.5℃から40.0℃であった.その後,指皮膚血流量は実験終了まで増加し続けた.しかし,Hot環境では指皮膚血流量の減少は観察されなかった.また,前腕皮膚血流量では両環境条件でHIVCは認められなかった.これらの結果から,Warm環境で下肢温浴による局所加温によって,指に認められたHIVCは反射性の機序によって調節されており,指のAVA血管に限定して発現したことが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 永坂鉄夫*1,平田耕造*2,田中香利*2,平井敦夫*3,平下政美*4
大学・機関名 *1 金沢大学,*2 神戸女子大学,*3 金沢学院大学,*4 金沢経済大学

キーワード

動静脈吻合体力医学温熱生理学皮膚血流量下肢温浴