信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高所身体適性を予測する試み

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 本研究では常圧下および低圧シミュレーターを用いた急性低圧低酸素環境下における安静時および最大運動時の筋酸素動態を近赤外分光法を用いて検討することにより高所身体適性を予測する試みを行った.実験として,日常的に運動を行っている者7人(鍛錬者群)と日常的に運動を行っていない者7人(非鍛錬者群)にランプ負荷による最大運動を行わせ,その時の筋内酸素動態を近赤外分光法により測定を行った.また,実験として,被検者6人について常圧下,2,000mおよび4,000m相当高度の3高度条件で最大運動を行わせたときの運動時筋組織酸素動態を近赤外分光法により検討を行った.運動時組織酸素飽和度動態は,鍛錬者群の方が非鍛錬者群よりも有意に低値を示し,鍛錬者群の高いO₂extraction能を反映していることが推察された.また,動静脈酸素較差を反映していると考えられる(SaO₂-StO₂)値は,常圧下の運動時では鍛錬者群の方が非鍛錬者群よりも高値を示し,組織への酸素供給が鍛錬者群で大であることが認められた.また,(SaO₂-StO₂)値は,4,000m相当高度下の運動時では顕著な低下を示し組織への酸素供給が制限されうることを示唆された.これらの結果から,望ましい高所身体適性として,低圧低酸素環境下において高い動脈血酸素飽和度を有し,また,O₂Extraction能が高く,(SaO₂-StO₂)値の高いことが重要な因子となることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 菊地和夫
大学・機関名 九州芸術工科大学

キーワード

筋酸素動態高所身体適性最大運動動静脈酸素較差動脈血酸素飽和度