信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 寒冷下運動負荷時の体温調節反応と寒冷血管反応に及ぼす体力水準の差異

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 成人男子運動鍛錬者20名について,平均環境温度10℃,平均相対湿度60%そして平均気流0.5m/secの測定室に,長袖シャツにランニングパンツで自転車エルゴメータ上にて30分間安静の後,運動強度70%Vo₂maxで30分間運動負荷した.そして運動鍛錬者のVo₂max(ml/kg/min)が60ml/kg/min以上を高値群(H-G, n=10),59ml/kg/min以下を低値群(L-G, n=10)の2群に分け,寒冷に対する末梢血管調節反応(CIVD)と自律性体温調節反応について持久性体力水準別に観察し検討した.
 直腸温(Tre)は,安静中H-Gが緩やかに低下しているのに対し,L-Gでは低下が大きく,運動開始とともにH-Gの上昇は大きかった.平均皮膚温(T ̅sk)は,寒冷暴露とともに両群低下し,運動開始後H-GよりL-Gは低かった.代謝量M(W/m²)は,寒冷暴露後両群ともに亢進し,さらに運動により急上昇したが,終始H-GのMが大きかった.運動開始より30分間のCIVDテストは,H-Gが平均指皮温(MST),反応発現温度(TFR)は高く,反応発現時間(TTR)は早く,抗凍傷指数(RI)は高かった.体脂肪%(BF%)とVo₂max,Tre,T ̅sk,Mとは,負の相関関係にあり,持久性体力の優れた者は,寒冷暴露下での体脂肪による断熱性は低下するものの,産熱量の増加と皮膚血管収縮の増大が耐寒性を獲得していた.
 持久的運動トレ−ニングは,寒冷下運動に対して体温調節の感受性や熱産生反応の改善が見られ,末梢血管調節反応と自律性体温調節反応との間の関連性がより明らかになった.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 管原正志*1,田井村明博*2,大渡伸*3,上平憲*4
大学・機関名 長崎大学

キーワード

末梢血管調節反応自律性体温調節反応平均皮膚温代謝量抗凍傷寒冷暴露