信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 長期間のクレアチン摂取が持久的能力に及ぼす影響に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 本研究の目的は,長期間にわたるクレアチン(Cr)摂取が有酸素的能力,繰り返し行われる高強度運動のパフォーマンスおよび筋容積に及ぼす影響を調べることであった.10人の混成競技選手がCr群(n=5)とプラセボ(P)群(n=5)に分けられた.Cr群は1日20gのCr monohydrate(Cr.H₂O)を6日間,その後7週間は1日4gのCr.H₂Oを摂取した.P群は同量のグルコースポリマーを摂取した.トレーニングの質と量はCr群とP群の間に明かな差異はみられなかった.摂取後,Cr群では大腿四頭筋のクレアチンリン酸濃度が20%(P<0.01)まで増加したが,P群では変化しなかった.磁気共鳴スキャナ内での中強度運動後のPCr回復の時定数は,両群とも摂取によって変化しなかった.摂取後,Cr群は高強度運動および回復中,摂取前よりもより高いPCr濃度と細胞内pHを維持した(P<0.05).トレッドミル走により測定された最大酸素摂取量は両群とも変化しなかった.3セットの30回連続の最大等速性膝伸展運動において,Cr群におけるピークトルク発揮は,すべてのセットの後半10回または20回の収縮中,摂取前の値と比較してより高値を示した.Cr群の大腿部筋横断面積はCr摂取中に増加したが(P<0.05),P群では変化が認められなかった.これらの結果は,比較的長期間のCr摂取は全身性の,または局所的な有酸素的能力を向上させないことを示唆している.さらに本研究では,Cr摂取が繰り返し行われる高強度運動のパフォーマンスを向上させ,そして,筋肥大を促進させることを確認した.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 高橋英幸*1,谷口仁志*2,尾縣貢*3,板井悠二*4,勝田茂*5
大学・機関名 *1 国立スポーツ科学センター,*2 筑波大学

キーワード

クレアチン有酸素的能力高強度運動筋容積混成競技大腿四頭筋