信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 着衣のbellows action (ふいご作用)の着衣の放熱性能への効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20

 着衣のふいご作用(bellows action)が放熱に有効であることは経験的に周知のことであるが,その定量的な効果についてはあまり検討されていない.本研究は,ふいご作用の着衣の放熱性能への効果,さらにはそのメカニズムを明らかにするため,無風の環境において,人体の発汗していない皮膚を模擬する発熱平板および着衣のふいご作用現象を模擬する上下往復移動装置を用い,モデル実験を行った.着衣の熱伝達に影響を与えると考えられる衣服の素材要因と着衣の構成要因に対して,それぞれ素材の通気性および衣服下間隙の寸法や開口部との距離などを取り上げ,着衣の熱伝達へのふいご作用の効果を検討することを目的とした.ふいご作用の効果は開口部からの距離に比例してその放熱効果が大きく現れた.素材の通気性に関しては予想に反して着衣の放熱性能への影響は小さく,極端に通気性が小さいメッシュ素材以外はほとんど通気性による差は見られなかった.間隙の効果に関しては顕著な差が見られ,間隙5mmで最もふいご作用の効果が見られ,それより間隙が小さくなっても,間隙が大きくなってもふいご作用の着衣の放熱性能への効果が小さくなった.間隙20mmでは逆に位置によっては着衣の熱抵抗がふいご作用により増す場合さえ見られた.

「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 薩本弥生
大学・機関名 お茶の水女子大学

キーワード

ふいご作用着衣放熱性能通気性間隙の効果