呼気中の乳酸濃度測定用バイオセンサーの作製
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.20 Vol.20】
乳酸オキシダーゼと白金電極を組み合わせて乳酸を測定するためのバイオセンサーを作製した.架橋法と積層膜法の2通りの方法で白金電極の表面に乳酸オキシダーゼを固定化して乳酸センサーとした.架橋法では酵素と牛血清アルブミンをグルタルアルデヒドで架橋する方法を採用した.また,積層膜法では,マンノース修飾酵素とコンカナバリンAを交互に累積固定化して薄膜とする方法によった.いずれの方法で作成した乳酸センサーも,溶液中の乳酸に対しては良好な応答性を示した.しかし,前者の方法では作成されるセンサーの応答特性の再現性に難があること,また後者の場合には,作製に長時間を要することの欠点を有している.呼気中の乳酸を測定するために,センサーの電極表面をさらに含水ゲル膜(透析膜)で被覆して,電極表面を溶液中と類似の環境にした.含水ゲル膜を用いて電極表面に疑似溶液環境をつくることにより,このセンサーは空気中でも電流測定ができることが明らかになった.しかし,この状態でセンサー表面に呼気を吹きかけてセンサーの応答を検討したが,良好な結果を得ることができなかった.これは,センサーの構造上の欠陥ではなく,呼気中の乳酸濃度が低いことによるものと推定される.呼気中の乳酸を測定するためには,センサー表面で乳酸を濃縮するなど,今後何らかの方策を検討する必要がある.
「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第20巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 安斉順一,鈴木巌,陳強 |
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大学・機関名 | 東北大学 |
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