急激な負荷変化に関する予測が呼吸循環応答に及ぼす影響

　負荷変化に関する予測が運動時の呼吸循環応答に及ぼす影響を明らかにするため，負荷変化について，正しく教示されているTrue条件，逆の教示が与えられているFalse条件，負荷変化に関する教示のないNo条件を設定し，同一負荷の自転車作業を15名の被験者が3回繰り返した．作業負荷は，運動開始5分目に40%VO₂maxから50%VO₂maxへステップ状に上昇させるように設定した．TrueとFalse条件では，負荷変化前に予期応答がみられ，換気量，心拍数，平均血圧が両条件共に同程度上昇していた．教示条件に対応した呼吸循環応答は，負荷変化後の筋血流量，酸素化ヘモグロビン，平均血圧に現れていた．正しく負荷変化を予測できるTrue条件では，NoやFalse条件に比べ，活動筋血流量が確保され，その結果酸素化ヘモグロビンの低下も少なく，昇圧反応も抑えられていた．このように負荷変化に関する予測の相違が同一強度の運動であっても，その呼吸循環応答を変調することが明らかとなった．

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	定本朋子
大学・機関名	奈良女子大学大学院

キーワード

予測、呼吸循環応答、自転車作業

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