インスリン抵抗性定量評価法の確立を通じた,インスリン抵抗性改善による生活習慣病の発症阻止と,健康増進のための最適運動プログラム作成の試み
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21】
運動療法は,インスリン感受性を高めるとされることから,インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)が基盤となる生活習慣病の発症・進展予防に有効であると考えられる.本研究では,インスリン抵抗性の指標としてインスリン静注試験の初期糖消失率に着目し,臨床的有用性,安全性を検討した.さらに,その指標を用いて,運動療法がインスリン抵抗性をどの程度改善させるか,また改善に影響する因子は何かについて分析した.その結果,スタンダード法としてのグルコースクランプ法(以下,クランプ法)と有意の相関を示し,K値がインスリン抵抗性評価に有用であることが示された.また,糖尿病患者において,程度の差こそあるが,ほとんどの症例にインスリン抵抗性が指摘され,治療により変動することが示された.運動療法の導入によっても,インスリン抵抗性は改善傾向を認め,血糖コントロールに有効であることが示された.さらに,運動療法によるインスリン抵抗性の改善には,内臓脂肪の減量が重要であり,運動療法の成否を左右することが示された.今後,内臓脂肪の有効な減量を目指した最適運動プログラムの確立が検討課題であると考えられた.
「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 浜口朋也,中島弘,難波光義,山崎知行 |
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大学・機関名 | 大阪大学 |
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