信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 高温環境下におけるフェンシング実施時の体温調節反応に及ぼす着衣の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21

 高温環境下におけるフェンシング実施時の体温調節反応に及ぼす着衣の影響について検討した.
 調査1として,大学フェンシング部員男子16名を対象として,夏期暑熱環境下でのフェンシング練習時の飲水量,発汗量,体重減少量を調査した.その際,着衣の条件としてTシャツ・短パンでトレーニングおよびフットワークを行うTS条件とマスクとユニフォームと剣を用いてレッスンおよびファイトを行うFU条件について比較検討した.練習中,選手は市販のスポーツ飲料を自由に摂取した.調査時の環境温度・WBGT(wet-bulb globetemperature)は,17.2℃から29.1℃の範囲であった.
 フェンシング練習時の着衣条件,TS条件およびFU条件での発汗量および飲水量は環境温度(WBGT)の上昇に伴い増加し,FU条件での発汗量は27.0℃以下の温度条件でTS条件の発汗量よりも有意に高値を示した.調査2では大学フェンシング選手6名を対象に,夏期高温環境においてTS条件およびFU条件で練習時に心拍数,直腸温,胸部皮膚温(衣服内温)を調査した.
 TS条件およびFU条件での心拍数の平均値に差はみられなかった.直腸温,胸部皮膚温は環境温度(WBGT)の上昇に伴い増加し,これらの温度上昇度はTS条件に比してFU条件が高値を示した.
 これらの結果から,高温環境下でのフェンシング練習時の温熱ストレスはTS条件よりもFU条件で大きいことが示された.

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中井誠一*1,新矢博美*1,高橋英一*2
大学・機関名 *1 京都女子大学,*2 東京農業大学

キーワード

フェンシング体温調節反応着衣環境温度WBGT(wet-bulb globe temperature)