信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 若年期からの運動習慣は,最大骨密度を効果的に増加させるか−健常成人女性における検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21

 我々は,20才から39才の健常女性を対象に,10代における運動習慣が現在の骨密度(BMD)へ与える影響について検討した.全身骨密度(WBMD),腰椎骨密度(LBMD),橈骨骨密度(RBMD)は二重エネルギーX線吸収法(DEXA法)にて測定した.質問紙を用い,中学,高校,および現在の運動習慣,3日間の食事内容,過去の食事習慣を調査した.年齢,body mass index(BMI),現在のカルシウム摂取量,10代の牛乳摂取量を調整後,週1時間以上の運動を中学・高校でしていた者は,すべての測定領域において他の者より骨密度は有意に高かった(p<0.01).跳躍運動などのimpactの高い運動(high-impact sports)をしていた者は,すべての時期において,他の運動をしていた者よりWBMDは高値であり(p<0.01),中学時にhigh-impact sportsをしていた者は,LBMDは有意に高かった(p<0.01).10代より現在まで継続的に運動習慣を持つ者は,年齢などの関連要因を調整後,すべての領域の骨密度は有意に高値であった(WBMD:p<0.001,LBMD:p<0.01,RBMD:p<0.05).重回帰分析の結果,高校時のhigh-impactsportsと,中学時のhigh-impact sportsは,それぞれWBMD,LBMDに対する決定因子であった.我々のデータは,中学からの継続的なhigh-impact sportsは,現在の骨量を効果的に維持・増加するため重要な要因であることを示している.

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 柳久子*1,原修一*1,平野千秋*1,戸村成男*1,天貝均*2
大学・機関名 *1 筑波大学,*2 筑波技術短期大学

キーワード

健常女性運動習慣骨密度跳躍運動