信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 人の熱放散反応を改善する可能性がある温度以外の入力

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21

 運動に伴う身体トレーニングが熱放散反応を改善する仕組みとして,体温などの要因以外に非温熱性要因の入力も関係している可能性がある.本研究ではその入力の大きさと熱放散反応の変化との関係を検討した.被験者は健康な男子学生8名であり,環境温35℃,相対湿度50%の環境制御室内で最大等尺性筋収縮力(MVC)の15,30,45および60%の強度のアイソメトリックハンドグリップ(IH)運動を60秒間実施した.IH運動強度の増加とともに,心拍数,自覚的運動強度および平均血圧は増加したが,食道温および平均皮膚温はいずれの運動中も一定の値を示した.胸部,左右前腕部および手掌部の発汗量(SR)は強度の変化とともに増加したが,その増加の仕方は手掌部SRと他の部位のSRでは異なっていた.胸部と前腕部SRでは30%MVC以上の運動強度で手掌部SRでは45%MVC以上の運動強度で,それぞれ顕著な増加を示した.胸部および左前腕部の皮膚血流量(SkBF)と皮膚血管コンダクタンス(CVC)は運動強度の変化とともに増加したが,CVCの増加は運動強度間で顕著な差は認められなかった.また,いずれもSRと同様に15%MVCでは顕著な増加を示さなかった.以上のことより,IH運動中に起こる熱放散反応は主に非温熱性要因が関与していると考えられる.非温熱性要因の大きさとともに熱放散反応も増大するが,顕著な熱放散反応を引き起こすためには30%MVC以上の強度の運動が必要であると考えられる.

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 近藤徳彦*1,富永寛隆*2,芝崎学*3,青木健*1
大学・機関名 *1 神戸大学,*2 水口東高等学校,*3 奈良女子大学

キーワード

身体トレーニング熱放散反応非温熱性要因アイソメトリックハンドグリップ(IH)