信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF トレーニングが中・高齢者の骨折危険因子を抑制できるか

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21

 本研究の目的は,50歳以上の女性を対象として,7ヶ月間のトレーニングの効果を骨折の危険因子である骨の脆弱度および身体機能に対して検討することを目的とした.
 20人の閉経後女性および2人の閉経前女性がこの研究に参加した(50〜76歳).トレーニングは,週2回の持久的運動と15RM強度のレジスタンス運動とを組み合わせた内容であった.被検者は,7ヶ月のトレーニングの前後に,健康体力測定を行った.測定項目は,脛骨の伝播速度(SOS),脛骨,前脛骨筋および下腿三頭筋の横断面積,血中の骨代謝マーカーとしてオステオカルシン(OC)と型コラーゲン・C末端テロペプチド(ICTP)そして文部省の新体力テストであった.
 7ヶ月のトレーニング後,脛骨SOSは変化が認められなかった.また,OC(p<0.01)とICTP(p<0.05)は両方とも有意に増加した.体力測定の項目のうち,上体起こしおよび開眼片足立ちは有意に改善した.これらの結果は,本研究で実施した持久的運動と中強度のレジスタンス運動とを組み合わせた週2回,7ヶ月間のトレーニングが,高齢者の骨代謝回転を亢進し骨強度を維持させるとともに,身体能力,特に体幹の筋力およびバランス能力を向上させることを示しているものと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 福田理香*1,坂戸英樹*2,久野譜也*1,西嶋尚彦*1,岡田守彦*1
大学・機関名 *1 筑波大学,*2 成仁医院

キーワード

骨折持久的運動レジスタンス運動脛骨SOS