信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF マイクロダイアリシスを用いた汗腺機能の評価

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.21 Vol.21

 本研究の目的は,発汗量測定用に改良したマイクロダイアリシス法が汗腺機能の評価に有効的な手法であることを確立することである.実験1では,6名の被験者に対し,2本のマイクロダイアリシス管を用いて,本手法の再現性について検討した.リンゲル溶液に溶かした1×10⁻⁶M〜1×10⁻¹Mのアセチルコリン(ACh)を5分ごとに皮内に投与した.両部位からそれぞれ算出した発汗量間には高い相関が見られ(R=0.99±0.001,p<0.05),その回帰直線の傾きが1.03±0.14であったことより,この手法の再現性は非常に高いことが確認された.16名(男女各8名:21〜75歳)の被験者が参加した実験2では,1本のマイクロダイアリシス管を用いて,1×10⁻⁶M〜1MのAChを実験1と同様の手順で投与した.ACh濃度の増加に伴う容量曲線が確認され,発汗開始閾値濃度は1×10⁻⁶M〜1×10⁻³Mの範囲であった.高齢者のAChに対する発汗量は,濃度の増大に伴い若年者のそれよりも低くなり,1×10⁻¹Mおよび1Mで若年者のそれよりも明らかに低値を示した(p<0.05).これに対し,性差に伴う変化はいずれの濃度においても認められなかった.これらの結果は従来の薬理実験の結果とほぼ一致し,本手法がin vivoの比較研究においても汗腺機能を十分に評価し得る有用的な手法であることが示された.

「デサントスポーツ科学」第21巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 芝﨑学*1,Craig G. Crandall*2,近藤徳彦*3
大学・機関名 *1 奈良女子大学,*2 テキサス州立大学,*3 神戸大学

キーワード

発汗量マイクロダイアリシス法汗腺機能