信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 年少時のスポーツビジョンの個人差は生得的か,運動経験に起因するか

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 年少時のスポーツビジョンの個人差の要因を明らかにするために2つの実験を行った.実験1では小学3年生の男女を対象にしてDVA動体視力と瞬間視を測定し,体格,運動能力,日常の運動習慣から検討した.DVA動体視力と瞬間視には相関がなく,これらは異なる機序による視機能であり,個人内でも異なる発達をするものと考えられた.またDVA動体視力には性差があったが,瞬間視にはなく,瞬間視の性差はこの時点では未分化であった.
 実験2では7歳〜12歳の少年野球群と一般児童のDVA動体視力,眼球運動,有効視野を比較した.少年野球群はいずれの項目でも一般群よりすぐれている傾向があった.また生得的要因として,子供とその両親のDVA動体視力,眼球運動,有効視野を測定し重相関分析したが,いずれの項目も子供と親との間に有意な関係がなかった.
 スポーツビジョンの個人差をもたらす要因として,日常の運動の多少があり,運動習慣を通してDVA動体視力などが発達し,豊富な経験でより発達するものと考えられる.身体の発育がよいこと,および生得的な要因はないものと結論した.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 石垣尚男*1,吉井泉*2
大学・機関名 *1 愛知工業大学,*2 大阪府立大学

キーワード

スポーツビジョンDVA動体視力瞬間視運動能力