血中DHEA濃度の個人差と抗酸化機能について

　我々は，血中dehydroepiandrosterone（DHEA）濃度の個人差とDHEAの抗酸化能について検討することを目的として，一般女子80名および運動鍛練者77名のDHEA排泄量と11-deoxy 17-ketosteroid（deoxy17KS）量をガスクロマトグラフィにて測定した．また，血中DHEA濃度の個人差の影響をみるために，リンパ球培養細胞（WIL2-NS細胞）を用いて，DHEAおよびDHEAより生成されるステロイド（DHEA sulfate, testosterone, androstenedione）の濃度の違いによるDNA酸化損傷の影響を小核試験法にて検討した．その結果，運動鍛練者のDHEA排泄量およびdeoxy17KS排泄量は一般女子に比して明らかに少なかった．また，自然生成する有小核リンパ球とX線照射による有小核リンパ球の出現率は，25μMもしくは2.5μMのDHEAおよびDHEASで変わらなかった．
　本研究の結果，継続的な激しいトレーニングによってDHEA血中濃度が低下することが示唆された．しかし，小核試験では，DHEAおよびDHEASの濃度による明らかな抗酸化力の違いは認められなかった．

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	木村典代1，樋口満1，加藤達雄*2
大学・機関名	1 国立健康・栄養研究所，2 共立女子大学

キーワード

dehydroepiandrosterone(DHEA)、抗酸化能、DNA 酸化損傷

研究シーズトップに戻る