信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動後の疲労回復過程に及ぼす中心循環血液量増加の生理学的効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 健常男性8名を対象に下半身部の水浸(WI)による水圧によって,一過性に中心血液量(CBV)を増加させた条件下での上肢運動を施行し,その後の呼吸循環代謝系機能の回復過程に及ぼすCBV増加の影響について運動強度との関係から調べた.その結果,WI条件における高強度レベルでの運動終了後の初期の時間帯(0-2分)では,VO₂,VCO₂およびVEはコントロール条件よりも高値を示した.しかし,後半の時間帯(4-6分,10-12分)においては,VO₂およびVCO₂には両条件間の差は認められず,VEは逆にすべての強度レベルにおいてWI条件がコントロール条件よりも低値を示した.これら全てのパラメータにおいて3要因(条件×強度×時間)の交互作用効果が認められた.運動後のHRはWI条件でのすべての強度レベルおよび時間帯において常にコントロール条件よりも低値を示した.両条件間のHRの差は運動後初期の時間帯(0-2分)よりも後半の時間帯(4-6分,10-12分)で大きく認められ,WI条件においてHRの速やかな回復反応が認められた.運動後のすべての時間帯において,LAはWI条件での低強度レベルではコントロール条件よりも低値を示し,逆に高強度レベルでは高値を示した.主観的運動強度のWIによる影響はすべての強度レベル,すべての時間帯において認められなかった.以上,WIによるCBVの増加は,運動後の呼吸循環代謝系機能の回復プロセスを促進する可能性が示唆された.しかし,それはまた高強度レベルでの運動後の回復初期の換気反応の亢進および代謝の増大要因としても働くことが示された.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 宮本忠吉*1,中西康人*2,木下博*2
大学・機関名 *1 国立循環器病センター研究所,*2 大阪大学

キーワード

水浸中心血液量上肢運動呼吸循環代謝系機能