信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ベット上での下肢運動に伴う筋ポンプと呼吸の影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22

 健常人男性8名を対象に,下肢運動(膝伸展-屈曲)と呼吸が下肢静脈還流量(大腿静脈)に及ぼす影響を検討した.半臥位ベット上にて両下肢膝屈曲位(0度)にて,膝伸展角度をそれぞれ30度(低度),60度(中等度),90度(高度)伸展屈曲させる3種類の角度を用い,膝伸展角度の違いによる静脈還流量の影響(プロトコールA)を検討した.さらに3種類のそれぞれの運動に,呼気あるいは吸気を同調させることにより呼吸が運動中の下肢静脈還流量に及ぼす影響(プロトコールB)を検討した.結果は,プロトコールAでは,大腿静脈血流量は低度膝伸展角度に比べ中等度及び高度で有意(p<0.05)に増加した.次に,プロトコールBではそれぞれの膝伸展角度について呼吸静止時と吸気時及び呼気時の静脈還流を比較すると,吸気中における低度膝伸展角度,そして呼気中における低度及び中等度膝伸展角度は呼吸静止時に比較して有意(p<0.05)に下肢静脈還流量は増加した.以上のことから,動的な運動範囲として伸展角度が大きいほど下肢静脈還流量は高く,呼吸と筋ポンプの同調効果は,静脈還流の面からみた場合には,呼気時に中等度の膝伸展角度の運動を行うことが効果的であると示唆された.

「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 長田卓也*1,勝村俊仁*1,仲眞美子*2,浜岡隆文*1
大学・機関名 *1 東京医科大学,*2 東京都健康づくり推進センター

キーワード

下肢運動呼吸静脈還流量筋ポンプ