Perfusing a Tube-Lined Suitsのスポーツ現場応用に関する基礎的研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.22 Vol.22】
本研究は体温調節に与える着衣の影響を調査するため,perfusing a tube-lined suits(PTLS)とフェンシングユニフォーム(FUT)の高温環境下運動時の体温反応の差異を分析し,PTLSに環流する水の至適温度を決定した.男性7名の被験者はWBGT(wet-bulb globe temperature):28℃に設定した室内にて軽度負荷(250W/m²)による20分間の自転車漕ぎ運動を3回実施した.食道温(Tes),平均皮膚温(Tsk),心拍数(HR),心拍出量(Q),酸素摂取量(VO₂),温冷感(TS),脱水量(DEH)は1FUT着用時,およびPTLSを着用し214℃(PT14),320℃(PT20),426℃(PT26)の水を循環させた4条件について測定した.FUTの運動時によるTesは他の条件に比較して有意(p<0.01)に高かった.しかし,PT14,PT20,PT26によるTesには各条件間に有意差は認められなかった.FUTのTskは有意(p<0.01)に上昇し,PT14〜26では循環温度の低下に伴って有意(p<0.01)に低下した.HR,TS,DEHについて,FUTは他の条件に比較して有意(p<0.01)に高く,またPT26はPT14とPT20に比較して有意(p<0.01)に高かったが,PT14とPT20は類似していた.QとVO₂は4条件間に有意差は認められなかった.これらの結果は,高温環境下で軽度負荷による運動をPTLSを着用して実施した場合,20℃の水を循環させると最も効果的に体温を冷却していることを示す.このように,PTLSは高温環境でのスポーツ活動時に競技者の暑熱障害発生を予防するために有用であろう.
「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第22巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 芳田哲也*1,中井誠一*2,高橋英一*3,高橋浩二*4 |
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大学・機関名 | *1 京都工芸繊維大学,*2 京都女子大学,*3 東京農業大学,*4 アムテック(株) |
キーワード
体温調節、着衣、perfusing a tube-lined suits(PTLS)、フェンシングユニフォーム(FUT)、温冷感、脱水量