信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 陸上と水中での運動終了直後の心拍数の回復過程の差違に関する検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 本研究では,運動終了直後30秒間の心拍減衰時定数(T30)を指標に,主に迷走神経系の再興奮化を介する運動終了直後30秒間の心拍数の回復が,陸上運動と水中運動で異なるかどうかを検討した.異なる3つの心拍レベル(125,140,155拍/分)で4〜5分間の陸上運動(ジョギング)あるいは水中運動(平泳ぎ,回復期の水深:剣状突起レベル)を行わせ,両運動でT30を比較した.その結果,T30は,心拍数が125,155拍/分の時,水中運動の方が陸上運動に比べて有意に(p<0.05)低値を示し,心拍数が140拍/分の時も水中運動の方が低値を示す傾向を示した.また,4〜5分間の陸上あるいは水中運動(心拍数147拍/分のジョギングあるいは平泳ぎ)を行わせ,水中運動においては,終了後の回復期の水深を鎖骨およびへそレベル(鎖骨回復,へそ回復)の2種類設定し,各運動・回復条件でT30を比較した.その結果,水中運動・鎖骨回復におけるT30は,陸上運動に比べて有意に(p<0.05)低値を示した.しかし,水中運動・へそ回復と陸上運動との間では,T30に有意な差は認められなかった.以上のことから,陸上運動に比べて,水中運動終了直後30秒間の心拍数の回復は速まるが,回復が速まるかどうかは,回復期の水深の影響を受けることが示唆された.また,これらの点は,運動終了直後の心(脈)拍数を用いて,運動中の心拍数を推定する際に注意する必要があると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 丹信介,曽根涼子
大学・機関名 山口大学

キーワード

心拍減衰時定数迷走神経系の再興奮化陸上運動水中運動