信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 中高年女性の陸上および水中歩行時の呼吸循環応答と下肢筋活動

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 中高年女性7名(62.6±4.0歳)を対象に,トレッドミルを用いた陸上歩行時(40,60,80m/分)と回流水槽の底面にトレッドミルを備えた水中歩行装置(フローミル)を用いた水中歩行時(ベルトおよび水流速度:20,30,40m/分)の呼吸循環応答と下肢筋活動(前脛骨筋,腓腹筋,内側広筋,大腿直筋,大腿二頭筋)について比較検討を行なった.陸上および水中での同速度(40m/分)歩行時には,前脛骨筋,内側広筋および大腿二頭筋で,水中歩行時の方が有意に大きな活動量を示した.また,酸素摂取量(VO₂),心拍数(HR)およびMETSも,水中歩行時の方が有意に高値を示した.同一VO₂レベルの歩行時,腓腹筋および大腿直筋の活動量は,水中歩行時の方が小さくなる傾向が認められた.VO₂と各筋の活動量との関係から,水中歩行時の前脛骨筋,内側広筋および大腿二頭筋の活動は,VO₂の増加に伴い,陸上歩行時と同様の増加傾向が認められた.しかし腓腹筋および大腿直筋は,同一VO₂時の活動が陸上歩行時より少ない傾向が認められた.
 以上の結果から,水中歩行は浮力の影響が大きくなる条件では,術後のリハビリテーションや肥満症者および中高年者のコンディショニングのための運動として有効である.また,抵抗の影響が大きくなる条件では,重力方向への負荷を軽減しての心肺機能訓練の運動として有用である.さらに.水中歩行では同一VO₂レベルでの下肢筋群の活動様式が陸上歩行とは異なり,選択的な筋力訓練の可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 正野知基*1,藤島和孝*2,堀田曻*2
大学・機関名 *1 別府女子短期大学,*2 九州大学健康科学センター

キーワード

陸上歩行水中歩行呼吸循環応答筋活動酸素摂取量(VO₂)