信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動負荷時の血圧応答を指標とした高血圧発症リスクの評価とその実践的応用に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 運動負荷に対する過剰な血圧反応が,正常血圧者における将来の高血圧進展に対するリスクとどのように関係しているかをコホート研究によって明らかにするとともに,過剰な血圧反応を示す症例に対する運動療法が高血圧進展のリスク軽減に対して有効であるかを介入研究によって検討し,以下の結果を得た.
 1)正常血圧者726名からなる観察コホートを7年間追跡したところ,運動負荷に対する過剰な血圧反応は,安静時血圧を含むその他の交絡因子の多変量補正後も,将来の高血圧進展に影響を及ぼす重要な危険因子の一つであった.
 2)過剰な血圧反応を示す症例35名に対して,自転車エルゴメーターを用いて嫌気性代謝閾値に相当する強度の運動を週3回,16週間施行したところ,日中活動時の血圧や運動負荷に対する血圧反応性の低下,ならびに安静時および運動負荷後における血漿ノルエピネフリン濃度の低下を認めた.
 以上のことから,運動負荷時の血圧反応性を測定することは,正常血圧者における高血圧進展のリスクを判断するうえでも有効であると考えられた.また,運動負荷に対して過剰な血圧反応を示す症例における高血圧進展のリスク軽減に対して運動療法が有効であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 宮井信行
大学・機関名 和歌山県立医科大学

キーワード

運動負荷血圧反応高血圧進展に対するリスク