信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 常圧低酸素ハウスを利用したLiving High, Training Low法の有効性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 本研究の目的は常圧低酸素ハウスを利用した14日間のLiving in normobaric hypoxia, training innormoxia(LH-TN)が赤血球生成および持久的能力に及ぼす影響について検討することであった.
 10名の大学アルペンスキー選手を実験群(LHTN群)および対照群(CONTROL群)に等分し,LH-TN群は通常のトレーニングに加えて,14日間にわたり1日10-12時間,常圧低酸素ハウス(15.4%O₂)に滞在させた.実験期間前後および期間中に赤血球数(RBC),ヘモグロビン濃度(HGB),ヘマトクリット値(HCT),網状赤血球数(Ret)およびエリスロポイエチン(EPO)を測定した.また,最大運動テストを実験期間前後に実施した.
 LH-TNによって,EPOおよびRetはともに有意に増加したが(p<0.05),RBC,HGB,HCTに増加は認められなかった.また,最大酸素摂取量(VO₂max)および最大換気量(VEmax)は実験終了後3日目においては両群に差は認められなかったが,7日目においてLH-TN群はそれぞれ6%および13%の有意な増加を示した(p<0.05).
 14日間の常圧低酸素ハウスによるLH-TNはRBCおよびHGBを増加させなかったが,赤血球生成を刺激し,呼吸循環機能を改善させたことから持久的運動能力を向上させる効果的なトレーニング方法となる可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 内丸仁,土居進,石原啓次,形本静夫,青木純一郎
大学・機関名 順天堂大学

キーワード

常圧低酸素赤血球生成持久的能力最大運動最大酸素摂取量最大換気量