信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 水中での不整脈発現と安全基準に関する研究-水位と呼吸制限の相互作用-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.23 Vol.23

 水浸位の異なる環境(臍部,胸部,肩部)において,早い呼吸頻度から遅い呼吸頻度まで呼吸パターンの変化(呼吸頻度;4,6,10,15回/分の4種類,一回換気量;1.5L固定)について中高齢者群と若年者群との比較検討から,中高齢者の水中環境での循環応答の特徴について明らかにした.水浸によって,若年者群の心拍数(HR)は,臍部ですでに有意な低下が観察され,そのレベルは胸部および肩部でもほぼ同程度であった.中高齢者群の水浸によるHRの低下と一回拍出量(SV)の増大は若年者群ほど顕著にみられず,胸部,肩部において心拍出量(Q)の若干の増加傾向が観察されただけであった.異なる呼吸パターンの循環応答への影響はいずれの水浸条件でもほぼ同じ程度であり,水浸の影響が呼吸パターンのそれを凌駕していたようである.不整脈(PAC, PVC)の発現は中高齢者群のみに認められた.水圧の上昇による静脈還流の増大が心臓の前負荷を亢進し,中高齢者の不整脈発現に影響した可能性が考えられる.

「デサントスポーツ科学」第23巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 伊藤雅浩*1,福岡義之*2,荒木春夫*3,西勝英*1
大学・機関名 *1 熊本大学,*2 熊本県立大学,*3 あらき循環器内科

キーワード

呼吸頻度心拍数一回拍出量心拍出量不整脈