信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 腕運動によって脂肪は燃焼するか?-運動時間と強度からみた腕運動中の代謝特性-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 本研究は,アームクランキング運動(AC)と脚サイクリング運動(LC)中の運動強度および運動時間に対する代謝応答の違いを明らかにし,腕運動の脂肪燃焼の有効性を検証することを目的とした.各実験において,酸素摂取量(VO₂)および呼吸交換比(RER)を測定した.また,近赤外分光法により主動筋の組織酸素飽和度(SdO₂)を評価した.<実験1>27名の女子にACおよびLCを漸増負荷法により実施した.ACは急激なRERの上昇および低い換気性閾値を示した.さらに,ACの主動筋のSdO₂は最高VO₂(VO₂peak)の約50%の強度で止まった.このことは,AC運動の主動筋の酸素取り込み能力が速く最大に達したことを示唆している.<実験2>10名の女子に,両運動を3つの最大下負荷(最高作業負荷の20,40,60%,各10分間)で実施させた.RERはどの運動強度においても腕運動の方が有意な高い値を示した.<実験3>4名の女子に,両運動を40%VO₂peakの強度で60分間実施させた.両運動とも運動時間が長くなるにつれてRERは低下し,主動筋のSdO₂は上昇した.以上の結果より,腕運動は脚運動に比べ,同じ相対強度でも脂肪燃焼が低いが,長時間継続することにより脂肪燃焼が促進することが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 村木里志*1,綱分憲明*2
大学・機関名 *1 九州芸術工科大学,*2 県立長崎シーボルト大学

キーワード

アームクランキング運動運動代謝応答腕運動脂肪燃焼酸素摂取量呼吸交換比