信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 短期間の間欠的低酸素暴露が持久的鍛練者の呼吸循環系に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 本研究の目的は,安静時における間欠的低酸素暴露が持久的鍛練者におけるパフォーマンスおよび呼吸循環応答に及ぼす影響を明らかにすることである.持久的鍛練者10名を被検者とし,低酸素群およびコントロール群それぞれ5名ずつとした.低酸素暴露には低圧室を用い,高度を4,500mに設定,暴露時間および期間は90分/日,3日/週,3週間とした.3,000mランニングタイム,最大運動テストによる呼吸循環パラメータ,安静時の血液成分の測定を低酸素暴露前後,さらに低酸素暴露終了から3週間後に行った.低酸素群において,3,000mランニングタイムの有意な向上が認められた.向上したランニングタイムは暴露停止から3週間後には低下傾向が見られた.最大運動テストによる最大酸素摂取量などの呼吸循環パラメータには両群ともに有意な変化は見られなかった.低酸素群において,最大下運動中の酸素摂取量(VO₂)の有意な低下が間欠的低酸素暴露後に認められた.低下した最大下運動中のVO₂は暴露停止から3週間後には暴露前のレベルまで戻った.安静時の血液成分に関しては両群ともに実験期間を通じて有意な変化は見られなかった.これらの結果から,安静時の間欠的低酸素暴露により持久的鍛練者における持久的パフォーマンスと最大下運動時の運動効率が向上すること,しかしながら,この向上は暴露停止から3週間は維持されないことが明らかとなった.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 片山敬章,松尾宏,石田浩司,森滋夫,宮村実晴
大学・機関名 名古屋大学

キーワード

間欠的低酸素暴露呼吸循環応答身体適応持久的トレーニング