信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 大脳運動関連領域野における脳血流・ヘモダイナミクスと筋出力との関係

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 ヒトの身体活動において重要な役割をする大腿四頭筋の筋張力および神経筋活動と大脳の運動感覚野における脳血流・ヘモダイナミクスとの関係について検討した.7名の男性被検者を用いて,等尺性最大筋力(maximum voluntary contraction: MVC)に対して,10%(10%MVC),40(40%MVC)および60%(60%MVC)の張力発揮をさせ,外側広筋および大腿直筋の表面筋電図を測定し,平均振幅を算出した.酸素化ヘモグロビン(Oxy Hb),脱酸素化ヘモグロビン(Deoxy Hb)およびトータルヘモグロビン(Total Hb)の測定は,多チャンネルの近赤外分光装置を頭頂部に装着し,各強度の筋力発揮ともに10回づつ試行を行い,10回の加算平均として脳血流・ヘモダイナミクスのデータが算出される.筋力発揮は5秒間それぞれのターゲットフォースを維持するというものであった.Oxy HbおよびTotal Hbの動態は非常に類似しており,筋力発揮後の約5秒後にピークが見られた.一方,Deoxy Hbは筋力発揮の程度にかかわらず,大きな変化は認められなかった.実際に発揮された張力とOxy HbおよびTotal Hbのピーク値との相関関係は,ともにr=0.647(p<0.01)であった.また,外側広筋の筋電図平均振幅とOxy HbおよびTotal Hbのピーク値との相関関係は,それぞれr=0.699(p<0.01)およびr=0.669(p<0.01)であった.また,大腿直筋の筋電図平均振幅とOxy HbおよびTotal Hbのピーク値との相関関係は,それぞれr=0.665(p<0.01)およびr=0.692(p<0.01)であった.以上の結果から,筋活動と運動に関連した脳領域の血流動態には密接な関係があることがヒトを使った研究においても明らかとなった.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 秋間広*1,神崎素樹*2,政二慶*2,金久博昭*2,福永哲夫*3
大学・機関名 *1 名古屋大学,*2 東京大学大学院,*3 早稲田大学

キーワード

ヘモダイナミクス筋張力運動感覚野脳血流ヘモダイナミクス等尺性最大筋力