信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 加速度計測による高齢者歩行の安定性評価と転倒予防に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 高齢者の歩行の特徴として運動の不規則性が報告されている.運動の不規則性は神経筋骨格系の協調の不具合を反映していると考えられるが,そこに内在する制御メカニズムの動的な性質を評価できれば,歩行安定性や転倒のリスクを評価するうえで有効である.われわれは,検診の現場でも容易に使用可能であり,歩行の安定性をより解析的に評価するための新しい方法を提案した.小型の加速度計測装置を腰部に装着し,歩行中の体幹動揺を計測した.得られた加速度時系列データに対して非線形時系列解析を行い,リャプノフ指数の推定を行って歩行の動的安定性を評価した.若年者と高齢者を被験者として実験を行い,運動習慣や関節痛の有無により比較を行った.全体的傾向として,高齢者は若年者よりも動的安定性が低いことを示したが,高齢者でも高い運動習慣を持つ被験者は若年者と同程度の高い安定性を有していた.また,関節痛の有無によっても安定性に差を生ずる結果を得た.以上の結果から,高齢者個人ごとの歩行安定性の診断や運動訓練等介入の効果の定量化に有効な手段となり得ることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 猪岡光,石原正,小野貴彦,大瀧保明,永富良一
大学・機関名 東北大学大学院

キーワード

高齢者運動の不規則性歩行安定転倒