信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋肉のふるえを利用した持久性運動中の疲労回復のコツ

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.24 Vol.24

 長時間の静的筋収縮持続中に発現する生理的振戦(EPT)の特徴ならびにEPTが神経-筋活動および末梢循環に及ぼす影響について検討した.被験者(男子6名,年齢21−34歳)はまず長座姿勢で,関節角度を120゚に保ち,背屈方向への一定負荷(20%MVC)に抗して右脚足関節を保持し続ける,下腿三頭筋の等尺性収縮を長時間持久テストとして実施した.テスト時に下腿三頭筋各筋の表面筋電図,膝窩動脈血流速度,血圧を記録した.EPT(振戦サイクル8-10Hz)はいったん開始されると約10-20秒間続いたが収束し,その後も作業継続が可能であり,持久限界は示さなかった.EPT前と比較して,筋放電活動は腓腹筋においてEPT後に有意に(p<0.01)減少し,作業開始時のレベルに戻った.一方,動脈血流量および血管コンダクタンスは有意に(p<0.01)増大した.EPTによる動的筋収縮の反復が筋ポンプ作用として筋血流を改善し,持久的筋作業による神経-筋の機能低下を遅延させ,一時的な疲労キャンセル機能としての役割を果たす可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第24巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 田巻弘之,荻田太,竹倉宏明,倉田博
大学・機関名 鹿屋体育大学

キーワード

静的筋収縮生理的振戦表面筋電図膝窩動脈血流速度疲労