信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ライフスタイルと骨代謝関連遺伝子多型性等が転倒による骨折予防の一助としての骨密度の長期的加齢変化に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 ライフスタイルと骨代謝関連遺伝子多型性等が骨密度の加齢変化に及ぼす影響を検討するために,過去6〜10年間に毎年,ほぼ同じ時期に骨密度を測定してきた健常な男性23名(35.2±9.7歳)と女性37名(36.8±9.1歳)を対象として,各種調査(基礎,運動,栄養等)・測定(形態,体力等)・検査(VDR・ER遺伝子多型等)を行ない,そのデータを相互に検討した.
 その結果は,以下のとおりであった.
 1.遺伝子多型の出現頻度は,男女ともにVDR遺伝子多型では,bb>Bb>BB,aa>Aa>AA,ER遺伝子多型ではPp>pp>PP,xx>Xx>XXであり,日本人を対象とした先行研究と類似していた.
 2.遺伝子多型別BMDの加齢による平均低下率(直線回帰による回帰係数,スロープ)は,女性で,ヘテロ型(Bb型,Aa型,Pp型,Xx型)の方がスモールホモ型(bb型,aa型,pp型,xx型)よりも,高い傾向にあった.
 3.BMDの加齢による平均低下率に及ぼすBMIと1日当りの歩数の影響は,女性で,ヘテロ型の方がスモールホモ型よりも,高い傾向にあった.
 4.上記2, 3より,ヘテロ型の方がスモールホモ型よりも,骨の被刺激性が高いことが示唆された.
 以上のことから,転倒による骨折予防の一助としての骨密度の長期的加齢変化に及ぼす影響を考慮した骨粗鬆症の効果的な予防と治療には,生活習慣を改善するとともに,自らの形態と遺伝的素因を把握することが大切であることが理解された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 碓井外幸*1,平加保彦*2,釣谷伊希子*3,勝木建一*4,勝木道夫*4
大学・機関名 *1 武蔵丘短期大学,*2 やわたメディカルセンター,*3 金沢医科大学,*4 北陸体力科学研究所

キーワード

ライフスタイル骨代謝骨密度加齢被刺激性骨粗鬆症