信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動機能に関連する脳の加齢変化を視覚化する:機能的MRIによる研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究の目的は,運動機能に関連する脳の回路,とくに大脳基底核回路の加齢による生理的機能変化を明らかにすることである.若年健常人,および老年健常人各10名を対象に,左手指の複雑連続運動を5段階の自己ペース,または外的ペースで行わせ,その際の機能的MRIを撮像した.大脳基底核回路内の部位で信号変化を調べ,隣接部位同士の相関を求め,径路係数を算出した.若年健常人では,自己ペース運動時には補足運動野−右被殻−右視床−右1次感覚運動野.外的ペース運動時には右運動前野−右1次感覚運動野に強い機能連関を認めた.老年健常人は,自己ペース運動時には補足運動野−右被殻,外的ペース運動時には右運動前野−右1次感覚運動野の機能連関は低下するが,補足運動野−右運動前野間の機能連関は増加していた.以上から,加齢により中核となる回路活動は低下するが,大脳皮質内の運動関連領域同士に情報を伝え,異なる運動基盤を動員して,機能低下を代償することが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 谷脇考恭,飛松省三,吉浦敬
大学・機関名 九州大学大学院

キーワード

運動機能大脳基底核回路加齢