競泳パフォーマンスの限定要因に関する検討-MADシステムを用いた力学的・代謝的解析より-
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25】
本研究は,水泳時の生理学的および力学的解析値をもとに,競泳パフォーマンスの限定要因について明らかにすることを目的とした.被検者は年齢20歳の良く鍛錬された大学水泳選手13名であった.本実験においては,体力要因として最大酸素摂取量,最大血中乳酸濃度,およびOBLAを,また力学的要因として抵抗係数,抵抗指数,および最大推進パワーをそれぞれ測定した.力学的指標の測定は,すべてMAD(Measurement of Active Drag)システムを用いて行われた.また,合わせて100mと200m泳記録を測定した.泳パフォーマンスと各指標との相関をみると,最大血中乳酸濃度,OBLA,最大推進パワーとの間に有意な相関が得られた(p<0.01).さらに,重回帰分析を用いて泳パフォーマンスに対するこれらの指標の関与を検討すると,100mにおいては最大血中乳酸濃度とOBLAが,200mにおいてはOBLAと推進パワーがそれぞれ有効な指標として採用された.以上の結果より,100mおよび200m泳パフォーマンスには,最大無酸素性エネルギー供給能力の指標としての最大血中乳酸濃度,ある程度泳技術も関与するOBLAそして最大推進パワーが重要な因子であることが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 荻田太,田巻弘之,前田明,我妻玲 |
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大学・機関名 | 鹿屋体育大学 |
キーワード
水泳、限定要因、最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度、OBLA、最大推進パワー、MAD(Measurement of Active Drag)システム