信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 加齢により減弱したインスリン作用を改善する運動トレーニング効果に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 【目的】運動トレーニングが加齢に伴うインスリン感受性の低下を防止することは周知の事実であるが,その機序については不明な点が多い.本研究では,インスリン情報伝達に関与するタンパク量に対する加齢と運動トレーニングの影響について検討した.【方法】7および27週齢のSD系雌性ラットをそれぞれ安静(S)群と運動トレーニング(T)群に分け,T群には水泳運動を5日間行わせた.最終の運動終了後16時間で腓腹筋を摘出し,インスリン受容体,IRS-1,PI 3-kinase,PDK-1およびCblのタンパク量をWestern blotting法により測定した.【結果】IRS-1のタンパク量は,S群では加齢に伴い有意に低下したが(p<0.05),T群では有意な加齢の影響を受けなかった.すなわち,S群の7週齢(100%)に比してS群の27週齢では53%であり,T群の27週齢では68%であった.一方,インスリン受容体,PI 3-kinase,PDK-1およびCblのタンパク量は,加齢および運動トレーニングの影響を受けなかった.【まとめ】以上の成績より,加齢によるインスリン感受性低下に対する運動トレーニングの改善効果には,骨格筋におけるIRS-1タンパク量の調節が関与している可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 長崎大*1,下村吉治*2,押田芳治*3,佐藤祐造*1
大学・機関名 *1 愛知学院大学,*2 名古屋工業大学大学院,*3 名古屋大学総合保健体育科学センター

キーワード

運動トレーニング加齢インスリン感受性水泳