信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高血圧者における水中浸漬時の水圧が筋組織血液動態に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.25 Vol.25

 本研究は,高血圧症を有する高齢者に対する水中運動の適応を検討する為に,陸上及び水中時の筋組織血液動態の比較を行った.高齢健常者5例,内科的治療を行なっている高血圧者7例に対し,経皮的レーザー組織血液酸素モニターを用いて,右側大腿内側広筋にセンサーを取り付け,組織内酸素飽和度(StO₂)と組織ヘモグロビン量(HbT),組織脱酸素化ヘモグロビン量(HbD),組織酸素化ヘモグロビン量(HbO₂)を測定した.測定は,陸上立位,陸上椅座位(以下,陸上座位),陸上背臥位(以下,陸上臥位),水中立位で水位が臍部(以下,水中臍位),水中立位で水位が剣状突起部(以下,水中胸位),水中背臥位(以下,水中臥位)の各環境において測定した(平均水温; 31.2℃,平均室内温度;22.0℃,水中臍位の平均水位;95.8cm,水中胸位の平均水位; 111.0cm).各姿勢・環境での測定値を計測するにあたり,その条件への適応能力に個人差が認められたため,とくに本研究においては30秒間の心拍数の安定(±1)を目安に各姿勢・環境の測定点及び測定期間を定めた.心拍数の変動は,健常群及び高血圧群において,水中胸位では最低値を示した.高血圧群の血圧値の変動は,陸上座位時の159.6±18.9/79.4±13.0(mmHg)と比較して水中胸位時が138.6±22.5/69.0±10.7(mmHg)と統計上有意に低下していた(p<0.01).筋組織血液動態の変動は,高血圧群及び健常群において有意な差はなかった.しかし,浸水時の心拍の安定時間において,高血圧群が有意に遅い反応を示した.

「デサントスポーツ科学」第25巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 須藤明治*1,角田直也*1,田口信教*2,小宮節郎*3,井尻幸成*3
大学・機関名 *1 国士舘大学,*2 鹿屋体育大学,*3 鹿児島大学

キーワード

高血圧症高齢者水中運動筋組織血液動態