信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 繊維製品の肌触り評価のための接触特性計測システム開発に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.26 Vol.26

 触感は織物の風合いを判断する重要な因子である.ヒトは様々に指先を動かして布との接触現象および布の物理特性を知覚することができる.しかしながら,我々は,指先をどのように動かすことによって接触現象および布の物理特性を検知しているか明確に把握できていない.指先の動きが明確に理解できれば,我々は布の風合いの高い評価能力を得ることができるであろう.ヒトの風合い評価の知覚過程における,指先の動きの特徴を見出すことによって,触感評価システムの開発のための基礎データが得られる.したがって,我々は風合いの評価の過程における手の指動きを計測し,触覚評価システムを作るためにいくつかの基本的なデータを得ることを本稿での目的とした.風合いのための指の動かし方は,様々あるが,我々が日常最もよく使う母指と人差し指で織物を鋏んで,触診する動作に着目した.この把持状態での触診動作において柔軟性,滑らかさなどの風合い時における指先の動かし方を調査した.この調査を実現するために圧力と加速度センサを搭載したグローブ式触診動作測定システム構築した.布地の触診動作は,柔軟性,表面あらさ,押し硬さ,曲げ柔らかさなど評価目的によって,特有な触診動作があると考えられる.この動作の違いをグローブ式触診動作測定システムによって測定して,評価項目に対応した触診動作の把握を検討した.動作特徴は,ヒトの弁別能力によって,異なることも考えられるため,弁別能力が異なる被験者10名によって,触診動作特徴を把握した.結果として,評価項目によって,触診動作に対応した動作が観測され,その特徴が明らかになった.ヒトの弁別能力によっても動作にばらつきがあることが示唆された.また,被験者が評価の目的に対応した触診動作を理解している場合と曖昧な場合でも動作が異なることが明らかになった.

「デサントスポーツ科学」第26巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 上條正義,高寺政行,乾滋,細谷聡,堀場洋輔
大学・機関名 信州大学

キーワード

触感風合い指動き触覚評価システム