信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動時の全身循環および体温調節機能をサポートする下肢圧迫法の開発

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.26 Vol.26

 高温環境下での立位での運動時には,特に下肢への血液貯留が起こり,静脈還流量が低下して全身循環,体温調節機能を障害する.本研究では,下肢の静脈コンプライアンスを定量した.また,下肢圧迫が下腿局所循環に及ぼす影響を検討した.下腿静脈コンプライアンスは,4.63±0.28ml/100gtissue/100mmHgで,局所皮膚温上昇の影響を受けなかった.下半身陰圧は,胸郭インピーダンス(中心血液量の指標)を上昇,一回心拍出量を減少させ,心拍数の増加,前腕血管コンダクタンスの低下を伴った.下半身陰圧負荷時の前腕血管コンダクタンスの低下は,体温上昇時に大きくなった.このことは,体温調節反応が抑制されていることを示す.従って,下肢圧迫は,下肢への血液の貯留量を減少させることにより全身循環維持に有効であると考えられる.一方,下肢圧迫による灌流圧の低下は下肢血流量を低下させた.最適な圧迫圧を全身循環と局所循環の両面から検討していくことが今後の課題である.

「デサントスポーツ科学」第26巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 鷹股亮
大学・機関名 奈良女子大学

キーワード

高温環境体温調節機能静脈コンプライアンス下肢圧迫局所皮膚温上昇