信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高校生における腰椎および大腿骨近位部骨密度とその決定要因の縦断的研究-中学・高校期のスポーツ活動に焦点をあてて-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.26 Vol.26

 骨粗鬆症の予防策は思春期において骨量を高めておくことと,閉経後の骨量減少をできるだけ少なくすることである.しかし,これまでの対策は後者に重点がおかれ,前者に対しては対策が遅れているのが現状である.そこで,本研究では,高校1年時から3年時にかけての縦断的資料を用いて,この時期における骨密度の変化と骨量増加に影響する要因について検討した.高校3年生160名に対して骨密度測定を実施した.受診者は高校1年時にも同様の調査に参加していた.解析は,骨代謝に影響する疾患や服薬の既往のない生徒156名(男子:75名,女子:81名)に対して行った.骨密度は腰椎と大腿骨近位部をDXA(Hologic社製QDR-4500A)にて測定し,身長,体重および握力の測定を行うとともに,第二次性徴の発来状況(男子:発毛,女子:初経),既往歴,Lifestyle等の聞き取り,食品群別摂取頻度調査によるCa摂取量の推定を行った.高校期の年間平均変化率は男子で腰椎4.2%,大腿骨近位部4.1%,女子では腰椎1.4%,大腿骨近位部2.7%であり,男女とも骨密度は有意に増加した.しかし,高校期では骨量増加のピークが過ぎたことが示唆され,第二次性徴の発来を迎える小学校高学年からの継続的な対策の必要があると考えられた.さらに,この時期の骨密度に対しては中学期および高校期のスポーツ活動が強い正の独立した影響を及ぼしており,この時期のスポーツ活動は骨密度を上昇させる重要な要因であることが明らかとなった.

「デサントスポーツ科学」第26巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中比呂志*1,伊木雅之*2,森田明美*2,玉置淳子*2,池田行宏*2
大学・機関名 *1 京都教育大学,*2 近畿大学

キーワード

骨粗鬆症思春期骨量骨密度