信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動後に行うアイシングの長期的な適用の影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.26 Vol.26

 10名の被験者に,8RMの運動強度で8回のリストカール運動を5セット行う筋力トレーニングを週3回,6週間行わせた.毎回トレーニング終了後に運動側上肢を10±1℃の冷水に20分間浸した被験者5名を冷却群,残りを対照群としてトレーニング効果を比較した.両群で形態的変化やパフォーマンスの向上が認められたが,冷却群では筋厚,前腕最大周径囲および上腕動脈血管径の増加が有意(P<0.05)に小さく,最大筋力および筋持久力の増加も小さい傾向にあった.これらは,筋力トレーニングの効果を引き起こす要因として,機械的刺激とあわせて組織の温度上昇やそれに伴う諸変化が関与する可能性を示唆した.RICE処置として損傷部位を冷却することが有益であることは明確であるが,傷害の予防や疲労回復のために損傷がない組織を冷却することには,RICE処置の冷却と同様の意義のほかに,トレーニング効果が減衰する可能性を考慮する必要があると推察された.

「デサントスポーツ科学」第26巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 大西範和*1,山根基*2,小坂光男*2
大学・機関名 愛知みずほ大学,中京大学大学院

キーワード

リストカール運動筋力トレーニングRICE処置損傷冷却