信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 体冷却がその後の正弦波状運動時における呼吸循環系の応答に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 本研究は,運動前に全身冷却を行った場合と行わなかった場合の2条件下で,それぞれ運動強度が酸素摂取予備量の10〜60%の範囲を2分周期で正弦波状に変化する運動を30分間行わせ,運動中の呼吸循環パラメータの応答を比較検討した.被検者は健康な男子学生9名であった.全身冷却は水還流スーツを用いて1時間かけて行い,平均体温は約1.4℃低下した.正弦波状運動時のデータから,1運動周期毎に平均値,最大値,最小値,振幅(最大値と最小値の差),および運動強度曲線の最高点および最低点における位相遅れ時間(それぞれ,ΔTzおよびΔTn)を計測した.その結果,運動前に全身冷却を行うこと(precooling)によって,時間経過に伴う酸素摂取量の振幅応答の増大は遅れることが示された.そして,それは,末梢性に生じている可能性があると考えられた.また,心臓副交感神経活動度の指標である呼吸性不整脈の大きさの応答から,心臓副交感神経活動はprecoolingによって正弦波状運動時により大きく変動するようになる傾向があること,およびそれはその活動の最高レベルが高まるためであることが示唆された.加えて,正弦波状運動時の自覚的運動強度のΔTzはprecoolingによって増大する傾向があり,precoolingはより強い運動強度の場合に運動強度の変化に対する認知能力を低下させる可能性があると考えられた.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 曽根涼子,丹信介
大学・機関名 山口大学

キーワード

全身冷却の呼吸循環パラメータの応答正弦波状運動心臓副交感神経活動