児童期の習慣的な運動が思春期後の力調節安定性に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27】
本研究は,児童期の運動習慣の有無が,児童自身および思春期後の力を精確に発揮する能力(力調節安定性)に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.対象は定期的な運動習慣がある児童(運動児童群:9名)と運動習慣がない児童(非運動児童群:9名),および児童期より運動習慣が持続している18歳以上の若齢者(運動若齢群:8名)と児童期より運動習慣がない若齢者(非運動若齢群:7名)とした.課題動作は等尺性の足関節底屈動作とし,各被験者の最大筋力の2.5-20%を目標値とし,各目標値に対して力を精確に合わせる力調節試行を行った.その際,力,筋電図(腓腹筋内側頭およびヒラメ筋)を導出した.力調節安定性は,力の標準偏差から力変動として評価した.力調節試行時の力の標準偏差は運動児童群の方が非運動児童群よりも有意に小さかった(p<0.05,ANCOVA).また,運動群の方が腓腹筋の筋活動量が高く,腓腹筋/ヒラメ筋活動比が有意に高かった(p<0.05).一方,18歳以上の若齢者においては運動習慣の有無による差はなかった(p>0.05).以上の結果から,18歳以後については本実験条件では運動習慣による差が認められなかったが,児童においては運動習慣は力調節安定性をより向上させており,児童期に定期的な運動を行うことは,神経・筋機能の発育・発達促進に有効であると考えられる.
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 吉武康栄*1,品川佳満*1,神崎素樹*2,篠原稔*3 |
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大学・機関名 | *1 大分県立看護科学大学,*2 東京大学大学院,*3 コロラド大学 |
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