信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 水分摂取量の違いが高血圧中高年登山者の登山時の血圧に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 登山前に高血圧を示した15名(SBP≧140mmHgもしくはDBP≧90mmHg)を無作為に8名の飲料水提供群(HT-W群)と7名の飲料水自由摂取群(HT群)に分け,正常血圧者(NT群)8名を対照に登山中の血圧について検討した.登山に要した時間は約7時間で各群に差はなかった.飲水量はHT-W群4000ml,NT群1138±366ml,HT群1450±832mlであった.登山後の体重は,NT群-1.0±0.7kg,HT群-1.1±0.4kg,HT-W群-0.1±0.7kgとHT-W群は他の2群に対し,低値を示した(p<0.05).反復測定分散分析の結果,登山中の心拍数は群間に有意な主効果が認められ(p<0.05),HT群>HT-W群>NT群の順に高い心拍数で行動していることが認められた.登山中の血圧はSBP,DBPともに,群間と時間要因に有意な主効果認め(p<0.05),HT-W群>HT群>NT群の順に高い血圧で行動していた.しがって,登山中,自由摂取されている程度の水分摂取量では循環血液量の低下とこれ伴う心拍出量の低下から,血圧の低下と心拍数の上昇をもたらす可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 斉藤篤司,大柿哲朗
大学・機関名 九州大学健康科学センター

キーワード

高血圧登山水分摂取