信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 重量荷重トレーニングと体位変換トレーニングは姿勢保持機能を改善するか?-身体的生活機能と下肢伸張反射の姿勢性調節を指標とした介入研究-

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 本研究は重量荷重トレーニングおよび体位変換トレーニングが若年者の姿勢保持機能に及ぼす効果を実証するために,生活体力と下肢伸張反射の姿勢性調節を指標とした無作為割付比較試験を実施した.健常な学生31名(男性16名,女性15名年齢18歳〜34歳)を以下の3群に割付した:A群(重量荷重トレーニング群)体重の10%相当のウェイトを1日あたり累積4時間,5日間装着,B群(体位変換トレーニング)1日5セット,5日間,電動ベッド上で直立姿勢を保持して受動的に体位変換実施,およびC群を対照群とした.姿勢保持機能は生活体力(4項目法:起居能力,歩行能力,手腕作業能力および身辺作業能力),ヒラメ筋H反射(仰臥位,直立位)および60秒間の視覚入力なし(NV),あり(V)時の直立位での重心動揺軌跡長により評価した.生活体力4項目すべてが有意に改善したが,H反射の直立位/仰臥位比および重心動揺(遮眼/開眼軌跡長比)は変化しなかった.(トレーニング前後で起居時間,歩行時間,手腕作業時間および身辺作業時間が短縮したが,重心動揺(遮眼/開眼軌跡長比)およびH反射の直立位/仰臥位比は変化しなかった.)群と時点の交互作用は歩行時間でのみ認められた(p=0.07).若年者の姿勢保持機能の改善には,重量荷重トレーニングおよび体位変換トレーニングが有効であることが示唆された.さらに重量荷重や受動的体位傾斜トレーニングを利用した持続的外乱による固有感覚入力の増大は,姿勢保持機能を改善する可能性があると考えられる.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 江川賢一*1,荒尾孝*2,北畠義典*1,種田行男*3
大学・機関名 *1 財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所,*2 早稲田大学,*3 中京大学

キーワード

重量荷重トレーニング体位変換トレーニング姿勢保持機能ヒラメ筋H反射