信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動トレーニングが骨格筋の酸素利用能力に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 近赤外線分光法(NIRS)は筋収縮中の酸素(O₂)代謝動態に関する情報を提供してくれる.本研究は短期間のレジスタンストレーニング(sRT)が筋収縮開始後のNIRS筋内O₂動態に及ぼす影響を検討した.12名の健康な男性は,トレーニング群(Tr群:n=6,27.7±5.0歳)と非トレーニング群(Con群:n=6,24.5±4.5歳)に分けられた.Tr群は,毎秒120゚の等速性膝関節伸展動作(収縮10回×7セット)が4回で構成されるsRTに参加した.全ての参加者は,sRT前後に最大随意筋力(MVC:sRT前に測定した値)の30%と50%のレベルによる1分間の等尺性膝伸展テストを行った.その運動テスト時に外側広筋から記録したNIRSのΔ[deoxy Mb/Hb]動態を指数関数に当てはめることによって,筋内O₂動態の時定数(τ)と遅れ時間(TD),振幅(AP)を計算した.結果として,sRT後にTr群のみにおいてMVCが有意に上昇し,最大下等尺性運動テスト時のΔ[deoxy Mb/Hb]動態のτが低下傾向を示した.Δ[deoxy Mb/Hb]動態のTDとAPは両群において変化しなかった.以上の結果から,短期間の運動トレーニングによって筋のO₂代謝能力が向上し,筋収縮時における筋内のO₂動態が変化する可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 増田和実*1,秋間広*2,衣笠竜太*3
大学・機関名 *1 金沢大学,*2 名古屋大学,*3 武蔵野大学

キーワード

筋収縮中酸素(O₂)代謝動態レジスタンストレーニング等速性膝関節伸展動作最大随意筋力等尺性膝伸展