信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高強度・短時間の間欠的運動は骨格筋のインスリン感受性を高めるか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27

 運動を行うと骨格筋の糖取り込みに対するインスリン感受性が上昇することが知られているが,どのような種類の運動が有効であるかについては明らかではない.そこで,本研究では,絶食したラットに乳酸閾値を遥かに越えるような推定140%VO₂maxに相当する20秒間の水泳運動を10セット負荷する高強度・短時間運動,ならびに,乳酸閾値以下の推定40%VO₂maxに相当する水泳運動を180分間持続させる低強度・長時間運動を負荷して,上肢のepitrochlearis(EPI)筋におけるインスリン感受性上昇効果について検討した.
 高強度・短時間運動では,絶食安静コントロールに比べて,運動終了直後のEPI筋におけるAMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)の活性レベル,およびインスリン非依存的な糖取り込み速度の顕著な上昇効果がみられた.しかし,高強度・短時間運動終了4時間後の最大下インスリン刺激(7.5μU/ml)に対する糖取り込み速度(インスリン感受性)については,絶食安静コントロールのレベルと差はみられなかった.一方,低強度・長時間運動は,運動直後のAMPK活性レベルやインスリン非依存的な糖取り込み速度を上昇させなかったが,運動終了4時間後のインスリン感受性を顕著に上昇させた.
 このように,絶食ラットのEPI筋については,高強度・短時間運動よりも低強度・長時間運動のほうが運動後のインスリン感受性を効果的に上昇させる可能性が示唆される.

「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 川中健太郎,越中敬一,佐野明子
大学・機関名 新潟医療福祉大学

キーワード

運動骨格筋インスリン感受性乳酸閾値水泳運動高強度・短時間運動低強度・長時間運動