機能的スポーツウェア設計のための基礎研究-人体加圧の生体影響-
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.27 Vol.27】
衣服による人体加圧が自律神経活動を中心とする生理反応に及ぼす影響を明らかにする目的で,二つの実験を実施した.実験Aでは,非ストレッチ性ベルトによる胸部・胴部・腰部の加圧を行った結果,心拍変動のHF成分の有意な増大とLF/HF成分の低下が胴部と腰部で観察された.実験Bでは,ストレッチファブリックを用い,立位・仰臥位の各姿勢において,腰部または下肢(大腿と下腿)加圧時の心電図・血流量・皮膚温を測定した.また,安静時と,各被験者のVO₂max70%運動負荷時のエネルギー代謝に及ぼす加圧の影響も検討した.結果,下半身の加圧はHFの有意な増大,LF/HFの有意な低下を示し,仰臥位より立位で,腰部より下肢加圧で反応がより顕著であった.手足の血流・皮膚温には加圧による差が観察されなかった.エネルギー代謝は,安静時・運動時ともに加圧によって有意に増加した.以上により,スポーツウェアによる短時間下半身加圧は,血流の上半身への還流・血圧上昇を促し,心臓迷走神経活動の亢進をもたらすことが考察された.
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 田村照子,岡本法子 |
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大学・機関名 | 文化女子大学 |
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