信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 素材布の通気性,衣服の開口部とゆとりが衣服換気に及ぼす影響:身体部位差に着目して

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.28 Vol.28

 本研究では,温熱的機能性を考慮した衣服設計に向けての基礎的資料を得ることを目的とし,素材の通気性,衣服の開口部とゆとりが衣服換気量に及ぼす影響を身体多部位で検討した.ピンホ−ル密度の違いによる通気性が異なるアウターウェア4種(1.1,2.0,2.5,∞kPa・s/m)及び同じ通気性素材から作ったアウターウェアの襟・袖口・裾の開閉を可能にした大小2サイズの実験用衣服を同一被験者に着用させ,歩行時と立位時の衣服換気量を部位別(胸・背・上腕・前腕・大腿・下腿)に測定した.素材布の通気性,衣服開口部の開閉およびゆとり量の相違で衣服換気量に差が認められる部位が存在した.そして,この差の程度は歩行や風にも影響された.たとえば,歩行時には,素材布の通気性の改善により背,上腕,下腿で,襟・袖・裾の開口により躯幹,上肢で,ゆとり量の増加により上・下肢でそれぞれ衣服換気量が有意に増加した.以上の結果から,素材布の通気性,開口部やゆとりにより衣服換気量を部位ごとに意図的に調節することが可能であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第28巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 上田博之*1,井上芳光*2
大学・機関名 *1 大阪信愛女学院短期大学,*2 大阪国際大学

キーワード

通気性開口部衣服換気量