信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF パーキンソン病に対する転倒予防を目的とした運動療法

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.28 Vol.28

 大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部に外来通院しているパーキンソン病患者15名を対象として,転倒回数を調査し,運動療法指導・実施前後でのパーキンソン病患者の重症度,転倒件数およびManual Muscle Strength Test(MMT)による両下肢の筋力を評価した.また,介助者に対しては,介助場面で経験したヒヤリハットの件数および腰痛などの介助に起因した障害発症の有無を評価し,介助方法や腰痛などの合併症改善のための運動療法を行った.
 患者に対する運動療法は,歩行訓練,MMTで低下していた筋力を中心とした筋力増強訓練および自転車エルゴメーターによる運動を行った.パーキンソン病患者を転倒群と非転倒群とに分類したところ,股関節の外転,膝伸展に関与する中臀筋および大腿四頭筋の筋力が,転倒群では非転倒群と比較して有意に低下していた.
 訓練後の評価では,股関節の外転と膝伸展の筋力の増強と認め,転倒回数の減少が確認された.介助者については,訓練後に,ヒヤリハットの件数は変化しなかったが,腰痛を訴えていた介助者の腰痛は軽減した.
 パーキンソン病患者および介助者に対する適切な運動療法の実施は,パーキンソン病患者の生活の質(QOL)改善に有用である.さらに楽しく行える運動療法の開発を目指して研究を続けたい.

「デサントスポーツ科学」第28巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 阿部和夫,井上悟,橋田剛一,鎌田理之,須貝文宣
大学・機関名 大阪大学医学部附属病院

キーワード

パーキンソン病転倒運動療法筋力生活の質(QOL)