信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 遷延性疼痛の高次運動機能への影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.29 Vol.29

 緒言
 外傷後遷延する疼痛に伴う運動機能の障害は末梢運動器だけでなく中枢性の運動機能障害に起因する可能性がある.
 方法
 上肢遷延性疼痛患者6人(右3,左3)を対象に,視覚刺激と鼻を往復するポインティング課題を明暗2条件で行わせ,その運動軌跡の不正確さと反応時間を評価した.得られた結果は3要因分散分析で解析した.
 結果
 反応時間には有意差が無かった.運動の不正確さは患・健肢と明・暗条件の2要因間に相互作用(p<0.01)が見られた.
 考察
 遷延性疼痛患者の運動機能障害は末梢運動器の障害によるものではない.視覚情報と体性感覚情報を統合して上肢運動が行われる明条件よりも,体性感覚情報のみで上肢運動が行われる暗条件の方が運動は正確に行える傾向にあったことから,患肢の視覚情報がポインティング動作の障害となっていることを示唆し遷延性疼痛は中枢神経系の高次運動機能(眼−手協調運動)を障害していると考えられる.

「デサントスポーツ科学」第29巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 住谷昌彦*1,柴田政彦*2,齋藤洋一*2,八木澤瑞穂*3,眞下節*2
大学・機関名 *1 大阪大学,*2 大阪大学大学院,*3 西横浜国際総合病院

キーワード

外傷疼痛運動機能障害遷延性疼痛患者高次運動機能